Weird Charm School

しかし、元々気が強く、またソロで活動していた自負を持つ藤本は、
「六期を従えて女王様気取り」と特に初期メンバーを中心としたモーニング娘。メンバーに誤解され、孤立していた。

そんな中、モーニング娘。第四期メンバーである吉澤ひとみは、
「このままじゃいけない」と自ら率先して藤本と親しく接するようになり、
これにあわせて、同期メンバーである石川梨華、辻希美、加護亜依も藤本と親しくなっていっていた。

しかし、吉澤に秘めた恋愛感情を持つ石川は、吉澤と親しくする藤本に嫉妬の感情を覚えはじめ、
藤本への嫉妬と友情の葛藤に悩むようになる。

そして、石川はその自らの悩みを、以前からの相談相手であった、
山崎直樹の娘である純子に相談。
純子は石川に「何か」を吹き込み、
石川は藤本への罪悪感に悩みつつも、藤本への嫌がらせを開始、
純子の指示どおり、石川は携帯メールを使って、
初期メンバーを中心に、藤本の悪口メールを回覧する。

藤本はそれを気にしつつも無視していたが、
あるときモーニング娘。第5期メンバー高橋愛から、藤本への悪口メールがまわってきて、
メールの真相を知り、激怒。
石川とつかみ合いのケンカをするが、「藤本が石川を苛めていた」と誤解した山崎の怒りを買っただけに終わった。

この騒動の後、同じ山崎の娘である由佳子は仲直りの意味をかねて食事会を提案。
藤本は吉澤と一緒に参加するが、この時石川は純子との用事で欠席してしまう。

石川は騒動後も罪悪感に悩みつづけていたが、
ある日純子から、由佳子主催の食事会の真相を明かされる。
「実はこの食事会の後、吉澤と藤本が肉体関係を結んでいた」と。

石川は最初それを信じなかったが、
純子は藤本と吉澤が抱き合う写真を見せ、
また、泥で汚れた吉澤のブレスレットを石川に手渡す。

そのブレスレットは石川が吉澤にプレゼントしたもので、
吉澤も「毎日それを身につける」と約束してくれていたものだったのだが、
吉澤が藤本と肉愛関係を結んだ時に、藤本が投げ捨てたのだ、と純子は石川に吹き込む。

写真とブレスレットを前に石川は崩壊。
藤本への憎悪と吉澤への異常なまでの執着を見せるようになる。

3 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 03:03

あらすじ2

藤本に対し、ただ憎しみだけを抱くようになった石川は、
徹底的に藤本に嫌がらせを開始する。

藤本はこれに黙って我慢していたが、
ある日、石川たちと一緒に入浴した際、
石川から藤本の乳房がないことをバカにされ、
このことにコンプレックスを持つ藤本は怒りを爆発させ、
石川と再びつかみ合いの大喧嘩を演じてしまう。

再び起った藤本の騒動に、アップフロント上層部は慌てる。
山崎と瀬戸は「藤本に注意して、これからこういうことは起らないようにする」と、
他の役員達に説明するが、アップフロントの最古参である寺本保治は、
「2回目の騒動だし、一回他のメンバーの意見を聞いてみた方がいいのではないか？
そして意見を聞いてみた結果によっては、藤本をモーニング娘。から卒業させてしまってはどうか？」と提案する。

一見正論に見える寺本の意見だが、
実は寺本は、この事情徴集で、
モーニング娘。メンバーから藤本への批判的な意見をたくさん集める事で、
これを理由に藤本をモーニング娘。から脱退させ、
そして山崎と一緒に藤本のモーニング娘。加入を推進した瀬戸の面子を潰し、
瀬戸を失脚に追い込もうと考えていた。

そのための派閥工作も寺本は推し進めており、純子とも結託していた。

そんな中、吉澤は石川のもとを訪れ、
そして、「どうして最近藤本に嫌がらせばかりするのか？」と石川に聞く。

これに石川は吉澤と藤本が抱き合う写真や、
吉澤にプレゼントしたブレスレットを吉澤にみせ、
「私がどういう思いで過ごしてきたかわかる？」と、今までためていた想いを一気に爆発させる。

石川の告白を聞いて、吉澤は「自分が石川を追い詰めた」と強い罪悪感を覚え、
同性愛嗜好のない吉澤だったが、贖罪の意味をこめて、石川と関係を持つようになり、
以降二人はその関係にのめりこむようになる。

一方このころ、第6期メンバーである田中れいなは、
今度行われる役員からの事情徴集の結果次第じゃ、
藤本がモーニング娘。をやめるかもしれない、と強い危機感を感じるようになり、
藤本を「姐御」と呼んで敬慕する彼女は、何とか藤本の脱退を阻止しようと、
同期メンバーである、亀井絵里や道重さゆみと一緒に行動をとろうとするが、
いい妙案が浮かばず、立ち尽くしてしまう。

そんなところへ、藤本の大親友である松浦亜弥が現れ、
田中から事情を聞いた松浦は、
「実は美貴ちゃんはモーニング娘。をやめたいと漏らしていた」と田中達に明かす。

田中は藤本の想いを松浦から聞いて、
藤本から自分に全くそんな本音を明かしてもらえなかった事に、
「ウチは役たたずじゃ」と強い失望感に襲われ諦めようとするが、
「美貴ちゃんが一番信用しているのはあなた達。あなた達が頑張ればきっと気持ちも変わる」
と松浦から励まされ、改めて、藤本の脱退を阻止する決意を田中は固める。

しかし、会長の山崎が石川を強く信頼している事、
またメンバーからのイメージが、今度の騒動では藤本に極めて不利に働いている事などから、
手の打ちようがなく、全員頭を抱え込んでしまうが、
そんな中、松浦は妙案を思いつき、田中たちはそこに希望を見出す。

4 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 03:25

あらすじ3

同じころ、藤本美貴と親しい第4期メンバーである辻希美は、
同期メンバーの加護亜依に「ﾐｷﾃｨを止めさせたくない」と強く懇願される。

加護は「みんな辞めて欲しいと思ってるようだし、それは無理」と辻を説得するが、
辻は、
「ﾐｷﾃｨと梨華ちゃんの関係がおかしくなったのは、梨華ちゃんが藤本を苛めるようになったからだ」と話し、
これを聞いて、加護も、藤本と石川の関係を見るとき、
一つひっかかていることがあるのを思い起こしていた。

実は、加護と辻の二人は、
以前に、アップフロント本社ビルで、石川が女性とキスしているところを目撃していて、
これをきっかけに、石川は藤本への嫌がらせを開始していたのだ。

「なんかあるかもしれない」と加護はそれを第2期メンバーである矢口真里に明かす。
加護同様、石川の「豹変」がひっかかっていた矢口は、加護の話を聞いて、即座に、
「石川とキスしていたのは純子だ」と判断。そして「石川を陰で操っているのは純子だ」と理解する。
これは矢口自身が持つ経験から生じたものだった。

そして、「純子を止めないと」と決心した矢口と、
そんな彼女に協力する事に決めた辻と加護は、まず石川から真相を聞きだすことにする。

知恵を働かせた加護は石川を引っ掛ける事で、
石川の背後に純子がいることを知り、
そして、石川の想いも聞いた加護は石川に、
「けどそんなことしてるあんたをよっすぃーホンマに好きになってくれるんかな？」
と話し、これを聞いて石川も
「本当によっすぃーに愛される人になりたい」と決意し、
純子と縁を切ることを近い、今度行われる事情徴集ではそのことをすべて明かし、
藤本を守ると加護たちに約束する。

このことを加護と辻は矢口に報告。
しかし加護は「本当に純子と石川は対決出来るのか？」と不安を漏らす。
矢口は「石川を信じよう」と加護に話していたが、
内心では「加護の言うとおりだろう。やっぱり自分が純子さんを止めるしかない」と決意を固めており、
いよいよ純子と対決をするべく、矢口は事務所に向かうのであった。

7 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 03:43

（つづき）

「どうしたの、真里ちゃん？」
アップフロント本社ビルの一室で、
純子さんは、部屋に入ってきた矢口さんに優しく微笑みかけました。
「何か悩み事かしら？」
純子さんはモーニング娘。メンバーのカウンセラー的な仕事もしています。
ですから石川さんも純子さんとは深い関係になったわけで、
今日こうして矢口さんが訪れたのも、何か相談事があるからだろう、と純子さんが考えることは自然な事でした。

部屋に入って来ても、椅子に座ろうともしないで矢口さんは立ち尽くしたままです。
「真里ちゃん、おかけなさいな」
純子さんはそんな矢口さんに椅子に座るよう勧め、
矢口さんはそれに黙って従いました。

純子さんは矢口さんが座るのを見届けると、
優しい笑みをたやさずに言いました。
「どうしたの？」
「……」
矢口さんはうつむいて、黙ったままです。
ただ、両手を膝の上で組み合わせ、落ち着きなくそわそわとさせていました。

――言わなきゃ……矢口が言わなきゃ……。

（つづく）

8 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 03:53

（つづき）

どれほどの時間が過ぎたでしょう？
それは長いようでもあり、あっという間の出来事だったようにも思えました。

矢口さんはずっとうつむいたまま黙ったままで、
そんな矢口さんを純子さんは優しく笑みを浮かべて見つめたままでした。

「……か？」
その状況を打ち破ったのは矢口さんでした。
うつむいたまま、ボソッと何かをつぶやいたのです。
「うん？」
純子さんは、矢口さんが何を言ったのか聞き取れず、小さく小首を傾げ、聞きなおしました。
「なんて言ったのかな？」

矢口さんは一瞬顔をあげ、自分の顔を見つめる純子さんと目があうと、
慌ててうつむき、口を開きました。
「ですから、その……」
「うん」
「……石川使ってその……」
「うん？」
表情は全く変わりませんでしたが、純子さんの目が一瞬鋭く光りました。
しかし、矢口さんはうつむいたままでしたので、それには気づかなかったようで、話を続けました。
「……石川を使って、藤本にちょっかい出すの……やめてもらえませんか……？」

（つづく）

9 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 04:01

（つづき）

「へ？」
純子さんは素っ頓狂な声をあげました。
「どういうこと？」

何のことだかさっぱりわからない、と言った風で純子さんは目をぱちくりとさせました。
そんな彼女を見て、矢口さんは、

――本当に怖い人だ……。

そう思いました。純子さんのその姿は、
本当に何も知らず、突然の事態に困惑している姿でした。

――こういうマネが出来るから……だから怖いんだよね……。

矢口さんはそう思い、そんな純子さんの「演技」を突き破るべく声を大きくしました。
「とぼけないでください！　もう知ってるんですよ！
石川から何もかも聞いてるんです！！」
「ちょ、ちょっと待って……真里ちゃん、
話の意味がわかんないよ、落ち着いて最初から話してよ。ね？」
純子さんは苦笑いをしたまま、矢口さんをなだめるように言いました。
その姿は本当に当惑しているようにも見えましたが、
しかし、純子さんの目は、「石川」という名前を聞いたとき、一瞬ですが冷たい光を放っていました。
それを矢口さんは見逃していませんでした。
「もう知ってるんですよ、純子さん……。
石川から聞きました。純子さん、石川のことけしかけて、藤本に嫌がらせしてるんでしょう？」

（つづく）

10 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 04:36

（つづき）

「なんのことだかさっぱり……」
純子さんは苦笑したまま小首を傾げました。
「どうして私が梨華ちゃんと……話がさっぱりわかんないよ」

しかし、矢口さんはトーンを落とすことなく続けました。
「純子さん、とぼけないで下さい……。
こんな陰険な……悪魔のような知恵働かせる事が出来るの、あなただけじゃないですか……」
「だから真里ちゃん、落ち着いて最初から話してよ……。
私にはさっぱりわかんないわ」
純子さんは笑みを浮かべたままですが、
矢口さんの話にイラついているのか、少し口調は鋭くなっていました。
「それに悪魔のようなって……あんまりそういうこと言うものじゃないわよ、真里ちゃん」

しかし、そんな純子さんの言葉は矢口さんには届いていないようです。
矢口さんはうつむいて、涙をぽろぽろとこぼしながら言いました。
「純子さん……もう止めましょうよ……。
純子さんが何を思っているのかわかんないけど……けどこんな事したって何の意味もないじゃないですか……」
「だから一体何の……」
「純子さんのことはみんな信用してるんです。メンバーだけじゃなくって会社の人もみんな……。
けど……けど純子さんはそのことわかっててそれを利用して……酷い……酷いよ……」
「……」
「石川との関係のこと聞きました。
純子さんがいくらとぼけたってムダです……。だってあれは……あれは……」

矢口さんがゴシゴシとこぼれる涙を拭うのを見ながら、
純子さんは静かに言いました。
「……わかったわ……」

そして、純子さんはふぅと小さくため息を漏らして言いました。
「……何もかもお見通しってわけね……」
「……はい……」
矢口さんが声を詰まらせながら返事をすると、純子さんは静かに立ち上がりました。
「ちょっと待ってて……」
「……どこ行くんですか？」
「お手洗い」
純子さんは矢口さんに小さい笑みを見せました。
「すぐ戻ってくるわ。少し緊張しちゃって……」

そう言って純子さんは部屋を出て行きました。

一人部屋に残された矢口さんは、鼻水をハンカチで拭いました。

――観念してくれたのかな……。

（つづく）

11 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 04:58

（つづき）

「お待たせ……」
しばらくして、純子さんが部屋に戻ってきました。
「お帰りなさい……」
そう声をかけた矢口さんに、純子さんは小さく微笑むと、
再び矢口さんの前に座りました。

――目……腫れてる……。

矢口さんは、目の前に据わる純子さんを見て思いました。
確かに純子さんの目は、部屋を出るときと違い真っ赤になり、すこし腫れていました。

――泣いてたんだ……。

純子さんの頬にはうっすらと涙の跡がありました。

そんな矢口さんに構うことなく、
純子さんは、遠くを見つめるような目をして、うっすら微笑を浮かべたまま何もしゃべりません。

矢口さんも黙っていました。

しばらくの間、そうして二人は過ごしていましたが、
純子さんがふっと口を開きました。
「……私って酷いと思う？」
そう言うと、純子さんは矢口さんの顔を穏やかに見つめました。

――なんて綺麗な目なんだろう……。

矢口さんは自分を見つめる純子さんの穏やかなその瞳に思わず吸い込まれそうになりました。

アップフロント一、いや芸能界一の美人として由佳子さんは業界ではあまりにも有名な存在でしたが、
今目の前に座る純子さんは、そんな由佳子さん以上に矢口さんには美しく見えました。

――天使みたい……。

大げさじゃなく、矢口さんは思いました。
美しい瞳を細めて、うっすら微笑むその表情はまるで天使を髣髴とさせるものでした。

そんな純子さんの姿だけから判断したら、
彼女が石川さんを使って藤本さんに色々と嫌がらせをしていたとは到底信じられません。

――けど、この人は……。

純子さんの雰囲気に吸い込まれそうになっていた矢口さんでしたが、
彼女はそこで思い直し、そして言いました。
「酷いと思います……」

「そう……」
矢口さんの返事を聞いて、純子さんはクスリと笑いました。

（つづく）

12 名前： 脳内君★ 投稿日： 2004/03/25(木) 05:04

（つづき）

「確かに酷いわよね……。自分でもわかってた……でもね……」
と、純子さんが矢口さんの顔を見つめました。

「あ！」
矢口さんは思わず声をあげました。

それは驚きからあげた声ではありませんでした。

恐怖でした。

天使を思わせるような表情をみせていた純子さんでしたが、
今矢口さんを見つめるその瞳は異様な光を放ち、
その光は見るものに恐怖を与えずにはおかないものでした。

そして純子さんは言いました。
「あなたに言われたくないわ」

（つづく）