だからこそ、4年半も続いたのでしょう。“理念”が視聴者に支持される限り<M黙>は続けようと思っていましたが、高視聴率ゆえに電波料も高騰。さりとて、これ以上スポンサー各位に御負担願うのは心苦しいのが現実です。
http://www.japanesedream.net/issei/on_hyo/2004.9.LAST%20COMENT.html
Mの黙示録オンエア終了---富澤一誠コメント
テレビ朝日<Mの黙示録>は9月末をもって終了しました。4年半もの長きにわたって御支持、御声援ありがとうございました。心より感謝しております。
<M黙>は00年4月にスタートしました。番組のコンセプトは私の“理念”でした。
売れている曲にもいい曲はあります。しかし、知られていない曲のなかにも“いい曲”はたくさんあるのです。そんな“いい曲”に光を当てたい、というのが私の願いです。ミュージック・シーンの問題点は、いい曲なのに売れない曲がたくさんあるということです。なぜ売れないのか? いい曲がリスナーに届いていないからです。
いい歌でありさえすれば必ず売れる。歌にとって、これは基本ラインです。しかし現実は、いい歌であるということは、ヒットするための“必要条件”ではあっても、“十分条件”では決してありません。ここに歌、いや、ヒット曲のカラクリがあるのです。いい歌だったら売れる。これが必要条件ではなく、十分条件になるためには、その前提として、どんな歌にも平等に一般の耳に触れる機会がなければなりません。ところが、現実の音楽界の仕組みはそうなってはいないのです。
そんな音楽業界の構造的欠陥を改革しなければならない。そう思って、私は<M黙>を立ち上げました。テレビは売れているアーティストしか取り上げない。だったら、売れていなくてもこれから期待のできるアーティストを取り上げようと<NEXT BREAK ARTIST>コーナーを作りました。テレビの音楽番組にまともな音楽評論は皆無です。だったら、はっきりものを言おうと<音楽評論>コーナーを作りました。
<NEXT>と<音楽評論>という硬派な2本柱の“理念”の音楽番組を作りたい、という私の“夢”に賭けて、快くスポンサードして下さったのがレコード会社各社です。番組がスタートした当初、「コンセプトは立派だけど、あんな地味な番組、視聴率が取れるのかな?」と揶揄されました。私は意に介しませんでした。絶対的な自信があったからです。ユーザーが望んでいるはずだ、という確信があったからです。おかげさまで深夜1時台としては平均“3パーセント”と好評でした。だからこそ、4年半も続いたのでしょう。“理念”が視聴者に支持される限り<M黙>は続けようと思っていましたが、高視聴率ゆえに電波料も高騰。さりとて、これ以上スポンサー各位に御負担願うのは心苦しいのが現実です。「残念。続けて欲しい」という声援を胸に秘め、ひとまず幕を閉じます。4年半もの長きにわたって、御支援を送っていただいた視聴者の皆さんの“エール”が、私にとって最大の励みでした。心より感謝しています。本当にありがとうございました。